地質調査は次のように定義される

地質,土質,基礎地盤,地下水など地下の不可視部分について,地質学,地球物理学,土質工学などの知識や理論をベースに,地表地質踏査,物理探査,ボーリング,各種計測・試験などの手法を用いて,その「形」,「質」,「量」を明らかにする。

これを目的別に分類すると次のように区分される

1.学術的分野

地球科学の一分野として,その生成過程の地質学的解明や地震予知及び地球環境を含む主に純粋な学術的探求のための地質調査で,通商産業省工業技術院地質調査所,国や大学などの研究機関から発注される。また,この分野の将来構想としてJUDGE計画(Japanese Ultradeep Drilling and Geoscientific Experiments Project)がある。
これは,地球科学分野の研究者等により構想されている日本の超震度科学掘削技術を含めた全く新しい技術システムが必要だとされている。さらに,平成7年度以降,阪神・淡路大震災を契機に関心が高まっている活断層の調査が急増している。

2.資源開発分野

石炭,石油,鉱物資源,地熱など地下資源開発のための地質調査で,現在日本では,地熱発電のための調査を除いて細々と実施されている状態である。
しかしながら,戦前から昭和30年代前半くらいまでは,地質調査の主流はこの資源開発のためのものであり,建設事業分野に利用されているボーリング等の技術は,この分野で培われてきた者である。

3.建設事業分野

国土の開発や保全を目的とする建設事業のための地質調査である。現在日本では,地質調査事業量の9割以上が,この分野で占められている。
この建設事業に係わる地質調査は,戦前もトンネルやダムを中心に実施されていたが,その需要が急激に拡大し,民間企業にも発注されるようになったのは,昭和30年前後以降である。
その背景には,電源開発,高速自動車道,新幹線や公共住宅等の大規模な社会資本整備事業の進展と重化学工学を中心とした民間設備投資の増大があった。
そしてもう一方に,土質工学や土木地質学など地質調査技術を支える学問領域に等しい進歩があったことも無視できない。
建設事業における地質調査は,企画立案から維持管理の各段階で実施されるが,基本的には次の流れの中で実施される。
そして,それぞれの段階に,それを担う産業があるが,建設省ではこのうち,測量業,地質調査業,建設コンサルタント(土木設計業)の3種類を「建設関連業」として共通の土俵で行政指導を行っている。